2013年03月28日
なぜ、ガトランティスは“蛮族”と呼ばれるのか

総統、その“蛮族ども”も間もなく一掃されることでしょう
はい、第3章よりガデル・タラン氏の登場にござる。
その中で、“蛮族ども”と呼ばれているのが、小マゼラン銀河のガミラス領に侵入を繰り返す白色彗星帝国ことガトランティスであることは、1月に上映された第4章をご覧になられたお歴々なら、もうお分かりでござるぞな、もし。
↑ガミラスの猛将ドメルの討伐を受けて、撃沈されるガトランティスのミサイル艦(第4章11話「いつか見た世界」より)
はてさて、そこで素朴なギモンじゃが、
何故、ガトランティスがガミラス側から“蛮族”呼ばわりされているのか?
蛮族ということばからまず連想するのは、野蛮、未開といったいささか劣等したイメージじゃあ、なかろうか。
・・・とんでもない、白色彗星ガトランティスのどこが未開なのか。彼らはガミラスに勝るとも劣らぬ科学技術力を持っているはずじゃぞい。
そう思われる旧作以来の中高年ヤマトファンも多々、いらっしゃるはず。それを裏付ける具体例を挙げれば、
・ガミラスにおいて成し得なかった死者の蘇生医療で、デスラー総統を生き返らせたガトランティスの医療技術。
・なによりも、人工で、あのような彗星(都市帝国)を作り上げるほどの科学技術力。
この二つをみても、旧作の宇宙戦艦ヤマト2(1979年テレビ放送)を見る限りでは、ガトランティスはガミラスを上回る科学技術力を保有するのはほぼ間違いなかろうかとこの藤堂おじさんも思う仕儀にござる。

↑白色彗星の中核、都市帝国。いやはや、こんなものを人工で作れる科学力は驚異的でござる
そして、少なくともガトランティスは極めて高度に洗練された科学技術を持つ集団であり、その点では、決して未開とか野蛮には当てはまらないということにござる。
そうなると、ガミラスの上層部が、ガトランティスを指して“蛮族”と呼んでおる理由がますますわからぬようになるのではござりませぬかのぅ???>ヤマトファンのお歴々
1.蛮族という呼び方は、そんなに深い意味はなく、単に外国人というくらいの意味合いじゃなかろうか?
→なるほど。ガミラスは宇宙に冠たる大帝国だから、それなりにプライドも高く、自国以外の星間国家や星系国家を区別なく“蛮族”と呼称しているという解釈にござるな。確かに一理ござるし、実在の地球においても、ローマ帝国やビザンチン帝国、はたまた中国歴代王朝はだいたいそうだったそうな。しかし、彼らとて、たとえ小国や少数民族であっても優れていると認めた相手には、蛮族だとか夷荻というような相手を侮るような呼称は決してしなかったのだと教えてもらった仕儀にござる。小生の下で、歴史リポーターをしてくれているKIさんによれば、相手(相手国家)を蛮族と呼ぶには、是非はともかく必ずそれなりのネガティブな理由が存在するのだとか。
2・ヤマト2199は、ある意味、別個の作品だから旧作ヤマトの設定と違っていてもよいのでは?旧作ヤマトではガトランティスはすごい大帝国だったけど、2199のガトランティスは案外、群発的な海賊集団という設定じゃなかろうか?
→う~む、なるほど、ヤマト2199を旧作と別物として考えるというのも、確かにひとつの手でござる。まあ、それはそれでいいのかもしれぬ、ヤマト2199のガトランティスはあくまでファンサービスであって、旧作ヤマトのガトランティスと同じである必要はない、と割り切ってしまうのもひとつの考え方にござるが、ここではやはり割り切らずに踏み込んで解釈してみましょうぞ。なにせ、この「藤堂おじさんのヤマトな日記」はどうやら旧作からのヤマトファンの方々が多く閲覧くださっているらしいようなので、無下にはできませぬわい。
おじさん思いまするに、ガミラス帝星の首脳陣がガトランティスを指して“蛮族”と呼ぶ理由は、彼らの技術文明がどうだというのではなく、彼らの精神文化に問題があるとガミラスの人々が考えておるからではなかろうかと推察するのでござる。
↑進路上のものはことごとく粉砕し、文明を持つ星には艦艇を繰り出してひたすら破壊と侵略を繰り返す彗星帝国ガトランティス
つまり、ガトランティス人のものの考え方、倫理観、宗教感覚、生活風習といったものでござるが、旧作ヤマト(宇宙戦艦ヤマト2)での彗星帝国ガトランティスの様子がリメイク版ヤマト2199の世界でも有効であるとすれば、ガミラスの人々が、ガトランティス人の残虐な対外政策やあまりに粗暴で傲慢な考え方に嫌悪や軽蔑をこめてガトランティス人を“蛮族”と呼んでいるという解釈が、実に矛盾なくすんなり受け入れることができるのでござる。
もちろん、旧作ヤマトでのガトランティスの設定が2199で有効かどうかの正否は出渕監督はじめヤマト2199製作陣のみぞ知るところにござるが、有効とした場合には、ガトランティス=蛮族とすることもまた実にきれいサッパリ納得できてしまうことは留意に値するのではなかろうか。
↑「侵略と略奪に明け暮れる彼らに比べれば・・私のこころは、私のこころは・・・はるかに、地球人類に近い」。
宿敵デスラーがヤマトへの恨みを氷解する旧作ヤマト2の名場面のひとつ。もはや力尽き、戦うことができない古代進とヤマトを前にして、自分はガミラスの国家元首としての責任から、ガミラス民族の存亡をかけて地球を攻めヤマトと戦ったが、ただ侵略と収奪だけが目的の白色彗星帝国に比べれば、自分の心は地球人類と同じだと吐露するデスラー総統(宇宙戦艦ヤマト2、第24話より)
ソースの出所は違えど、ガミラスの対外政策とガトランティスの対外政策ひとつを比較しても、同じヤマトの交戦相手であっても両者が大きく異なることがわかるまする。
1.ヤマト2199第3章からわかる、ガミラスの被征服民族(敗戦国)に対する扱い
降伏または恭順すれば、殲滅ではなく二等臣民として一定の権利と義務が付与され、ガミラス帝国の一員として迎えられる。当初は純血ガミラス人(ガルマン民族)よりも下位に置かれるが、たとえ二等臣民でも能力・努力次第では等級昇格、ガミラスの将官クラスあるいはそれ以上に十分出世でき(たとえば、惑星ジレル出身のセレステラ宣伝相、惑星ザルツ出身のシュルツ大佐、ラング中佐)、ザルツ人のラング艦長が親衛隊のバレン・ネルゲ大尉の上官であったように純血ガミラス士官よりも上位に就くことも可能である。
2.さらば宇宙戦艦ヤマト&宇宙戦艦ヤマト2からわかる、彗星帝国ガトランティスの対外政策
白色彗星の進路上にある惑星を無差別に破壊して突き進む、利用価値がありそうな星(星系国家)には艦隊を繰り出して攻撃、占領搾取する様子が描かれており、宇宙戦艦ヤマト2においても地球人類に対して降伏して奴隷となるか殲滅されるかの二者択一。宇宙戦艦ヤマト2においては、第24話で、古代進と対峙したデスラー総統がガトランティスのことをを侵略と略奪に明け暮れる連中と評していたり、第25話でガトランティスのズォーダー大帝自身が「ワシこそが全宇宙の絶対者であり、生命ある者はその血の一滴まで自分のものなのだ」とヤマトの古代進に対して豪語していることから察するに、被征服民族(敗戦国)には文字通り情け容赦ない過酷な仕打ちで臨んでいると考えられ、少なくともヤマト2199におけるガミラスのように二等臣民として活躍の機会を与えるという余地はない。

テロンの諸君、これで我々がガトランティスのことを蛮族と評する理由をわかってもらえただろうか。
そして、彼らに比べれば、ガミラスは決して非道な侵略者ではないということをね。
君たちテロン人をわがガミラス大帝星の一員として迎え入れることができなくて、残念だよ。
いくら技術文明が進んでいても、行動習慣や倫理観がお粗末であれば、これもまた”野蛮”、”蛮族”と評価されるのだということにござりまするな。
今後のヤマト2199に、ガトランティスが再び登場するかどうかは判らぬことではござりまするが、4月7日からのTV放映に、4月13日からの先行上映に、ヤマトへの期待感がますます募る今日このごろ、今後のストーリー展開に思いをはせながら、旧作がらみの彗星帝国ガトランティスのことなど考察してみますれば、一歩踏み込んだ視点で、ヤマト2199を鑑賞できて、これまた興味津々なるものかもしれませぬぞな、もし。
それでは、今回はこのあたりにて失礼をば・・・・
待て!
好き勝手なことばかり言いおって、当事者たるワシの言い分も聞け!!

彗星帝国ガトランティス、大帝ズォーダーである。
わが大ガトランティス帝国をして、蛮族とは何事か!?
わが帝国の比類なき科学力と軍事力を持ってすれば、この宇宙でなしえない事など何一つないのだ。
そして、ワシこそが全宇宙の絶対者であり、生命ある者はその血の一滴までこのワシのものなのだ!!
おい






アンタなぁ、こんな傍若無人なこと言うから“蛮族”だと言われるんだよ



ええーぃ、茶々を入れるな、デスラー!
われらボラー、かつて白色彗星帝国に占領された上、虐げられた恨みがあるだ~べぇ~!!

わかったから、その醜い面で怒るのはやめたまえ、ベムラーゼくん。
私は、どうも下品な男は苦手なのだよ。
Posted by まほろば旅日記編集部 at 03:26
この記事へのコメント
藤堂長官,白色彗星帝国のご考察お疲れ様です。
KIです。真骨の入った記事,アクセスもこのところすごいですよね。機械文明がいくら発達していても,それを支える精神文明が稚拙であれば,やはりそれは野蛮であって,文明化されているとはいえないという主旨,なるほどと思わされます。
この白色帝国とガミラスの話ですが,技術・経済面では西欧に並び抜かれつつあった13世紀の東ローマ帝国(ビザンティン帝国)が,なおも傍若無人な振る舞いが多かった西欧の十字軍を「蛮族」と呼び続けたのと,通じる部分がありますよね。
あと,ヤマトの第5章の新PVが公表されていたとは驚きました。ただ,長い白色帝国の記事の中にあるので,ちょっとわかりにくく,気づくのが遅れました。せっかくの情報なので,PVはPVだけで別個の記事にしてしまったほうが読者には閲覧しやすいかなと,自分は少し感じました。これは自分個人の提案ですが,以前の記事のあらすじと今回のPVを一緒の記事にしてくださるとありがたいかも,です。
上映とテレビ放送前に興味深く読ませてもらいました。ありがとうございます。
追伸,藤堂編集長のヤマトな日記には足元にも及びませんが,倭しうるはしのほうも頑張ります。
KIです。真骨の入った記事,アクセスもこのところすごいですよね。機械文明がいくら発達していても,それを支える精神文明が稚拙であれば,やはりそれは野蛮であって,文明化されているとはいえないという主旨,なるほどと思わされます。
この白色帝国とガミラスの話ですが,技術・経済面では西欧に並び抜かれつつあった13世紀の東ローマ帝国(ビザンティン帝国)が,なおも傍若無人な振る舞いが多かった西欧の十字軍を「蛮族」と呼び続けたのと,通じる部分がありますよね。
あと,ヤマトの第5章の新PVが公表されていたとは驚きました。ただ,長い白色帝国の記事の中にあるので,ちょっとわかりにくく,気づくのが遅れました。せっかくの情報なので,PVはPVだけで別個の記事にしてしまったほうが読者には閲覧しやすいかなと,自分は少し感じました。これは自分個人の提案ですが,以前の記事のあらすじと今回のPVを一緒の記事にしてくださるとありがたいかも,です。
上映とテレビ放送前に興味深く読ませてもらいました。ありがとうございます。
追伸,藤堂編集長のヤマトな日記には足元にも及びませんが,倭しうるはしのほうも頑張ります。
Posted by まほろば旅日記編集部
at 2013年03月28日 19:42
