2012年11月14日
ヤマト2199第3章の感想(3) ~大ガミラス帝星の歴史

↑ヤマト2199第3章のパンフレットより
これは、ヤマト2199第3章に出てまいった、ガミラスの総統執務室の壁画にござる。
中世ヨーロッパ調の擬古的な題材なれど、中央に二連星のガミラス星とイスカンダル星がそろって描かれておるゆえ、旧作ヤマト同様、ガミラス星とイスカンダル星の友好(というより一心同体といった感さえある)を象徴した絵画であろう。
緑色のガミラス星に手をかざしている中世騎士のような甲冑をまとった男性は、ガミラスの元首あるいはデスラー総統のご先祖、そして、青いイスカンダル星を手にした女神のような女性はイスカンダル星の女王(スターシャの先祖)であろうか。
ま、地球(テロン)に対する政策ではおそらく対立していると思しきガミラスとイスカンダルでござるが、それ以外の点では、両者は親密、この古典的な趣向の壁画はガミラスとイスカンダルの切っても切れない深い関係を象徴しているのでしょうな。
此度のヤマト2199では旧作では明示されぬかった、ガミラスの歴史も簡単ではござりまするが、出てまいりました。
いわく、
1.大ガミラス帝星はもともと統一されておらず、複数の王侯貴族が分割統治していた。
2.それを地球の西暦で2096年のころ、エーリク・ヴァム・デスラーという英雄が統一して、ガミラス大公国を築き、エーリクは大公となる。エーリクこそが、アベルト・デスラー総統の叔父である。
3.エーリク死後、ガミラス大公国は再び内乱状態になるが、甥のアベルト・デスラーがそれを再統一した。
4.アベルト・デスラーはガミラスを統一したのみならず、外宇宙へも大々的に進出して、他星を服従させて、大小マゼラン銀河にまたがる巨大な星間帝国を築き上げ、その総統となる。おそらく地球の西暦で2100年代の後半のことである。
5.そして、西暦2192年、宇宙世界帝国ともいうべき大ガミラス帝星に従うザルツ人部隊がヴァルケ・シュルツに率いられて地球(テロン)攻略を開始、徹底抗戦を続ける地球は、ザルツ人部隊の遊星爆弾作戦により2199年には絶滅まであと1年といわれるまでに追い詰められた。
ヤマト2199第3章公開時点で、明らかにされておる、ガミラスの歴史はこんなものである。
さて、大小マゼラン銀河のほぼ全域を領土におさめている大ガミラス帝星の特徴は、なんといっても多民族国家であるということにござる。実在の地球の世界史でいえば、ローマ帝国やビザンチン帝国、イスラム帝国、中華帝国といった広大な領土と多民族を巻き込んだ世界帝国。大ガミラス帝星はその宇宙版ともいうべき存在としてヤマト2199の世界で描かれているわけでござりまする。
おそらく、ガミラスの歴史を考案するに当たって、製作スタッフは地球上実在の複数の世界帝国の歴史をヒントにしたことは容易に察しがつきまするところではござりまするが、こと古代ローマ帝国をモデルにしているのではという節がいくばくかあるそうな。小生の指揮下で、まほろば旅日記の歴史リポーターとして執筆いただいているKI氏によれば、デスラー総統の容姿のみならず、今般のヤマト2199で紹介された大帝星ガミラスの建国史が、な、なんと、帝政ローマの建国の経緯と似通ったところがあるというではないか。
帝政ローマがどう出来上がってきたのか簡単に述べますれば
1.ローマはもともと複数の貴族や議会によって運営される共和政の国だった。
2.それを統一し、ローマの唯一のリーダーになったのが、有名なユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)である。
3・カエサルの暗殺後、ローマは混乱に陥るが、それを再統合したのが、カエサルの甥のオクタヴィアヌスである。
4.オクタヴィアヌスはエジプトなど近隣諸国を征服して、ローマを地中海一帯にまたがる大領土国家にのし上げる。そして、オクタヴィアヌスは初代ローマ皇帝となり、アウグストゥスと名乗る。
以上、帝政ローマの歴史はKI氏まとめを参考にしてござる
ガミラスとローマ、なんとなく似てはござらぬか、いかがでござる?
叔父のカエサルが築き、甥のアウグストゥスが再統一完成させたローマ帝国と、叔父のエーリク・デスラーが築き、甥のアベルト・デスラーが再統一完成させた大ガミラス帝星。
そして、宇宙と地球という違いはあれど、どちらも広大な領土を持つ世界帝国ときている。
ローマ帝国は、自分たちの支配領域外の国家や民族を“蛮族”と呼んでいたそうでござるが、ヤマト2199第3章でも、ガミラス首脳部たちが、領土外の他星勢力を“蛮族”と呼称しておりましたぞな、もし。

やあ、諸君、
かつてテロンにあったローマとかいう帝国は、世界を平和にするために自分たちは他国を征服しているのだと使命感をもっていたのだそうだね。すなわち、ローマが世界を支配し、世界がローマの下にひとつになれば、いかなる民族もそれぞれに国を構えて互いに争うことははなくなるとか。
“ローマの平和”
武力征服によってのみ世界平和が成し遂げられ、それをするのがローマ人の使命だというその考え方は、まさしく、我々ガミラスが宇宙の恒久平和を達成させるために、目指している“イスカンダル主義”の拡大浸透そのものといえよう。
まさか、我が大ガミラス帝星が目指す手本が、辺境のテロンの、しかも大昔の原始国家に存在したとは思わなかったよ。
名誉あるガミラスの閣僚諸君、我々も“ガミラスの平和”を一日も早く実現させるために他星攻略に尽力しようではないか。




ガーレ! デスラー。 ガミラス万歳!!

いや、まだひとつローマとの共通点があった。
我々ガミラス人も、テロンの古代ローマ人や日本人に劣らず入浴文化をこよなく愛しているのだよ。
ふっふふふふ・・・・

↑ 暖簾にのぞくは、去る実写版ヤマトで総統閣下を演じる(というよりデスラー総統を演じられるのはこの人しかない)のではと公開前に話題になったお方にござる
Posted by まほろば旅日記編集部 at 03:00