2012年08月01日

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

沖田さん、あなたはこんなところで死んではいけない人だ!




上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

古代!それはお前も同じなのだ、同じなのだぞ!!


ご存知、4月7日放映の宇宙戦艦ヤマト2199第1章第1話の名シーン。

撤退を始める地球艦隊(といってももはや戦艦キリシマとユキカゼの2艦のみ)を猛追撃してくるガミラス駆逐艦

このまま撤退していては逃げ切れない・・・

間違いなく、キリシマもユキカゼも沈められてしまう



乗組員の命を預かる艦長としてはある意味、非情だが、古代守は地球軍全体のことを考えて、自分たちが犠牲になる決断したのだろう。


上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

どうか、ご無事で。 地球のことを頼みます。




そして、沖田司令の撤退を支援するため、ユキカゼは圧倒的戦力のガミラス艦隊へと、単艦で決死の突撃をかけます・・・

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

古代・・・!

デストリアのエネルギー砲が命中、炸裂するユキカゼに、沖田司令の悲痛な叫び・・・・


侵略者ガミラスの圧倒的な戦力と、地球側の絶望的な状況を端的に表しているこの場面は、旧作そして2199に共通する、ヤマト序盤の名シーンとしてあまりにも有名すぎる。

だが、ヤマト2199ではそれだけでは終わらなかったことは、第2章をご覧になった方々ならばご存知でござりましょう。

そう、ガミラスにも自己犠牲の徒がいたことを


上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

ヤマト、これより先に行かせはせぬ!!

その名はヴォル・ヤレトラー。ガミラス冥王星基地において、副司令のガンツとともにシュルツ司令の片腕として地球(テロン)攻略のために尽力してきた軍人。

地球攻略軍は、惑星ザルツ出身の2等ガミラス人から成る旅団で、デスラー総統をはじめ純血ガミラス人(ガルマン民族)から見ればいわば被征服民族から成る遠征軍。

ガルマン民族の中には、あからさまに彼ら2等ガミラス人を見下す態度を取る輩もおり、

劇中ではっきり語られることはないものの、ヴォル・ヤレトラーもザルツ人のガミラス帝国内での地位向上、さらには自民族の将来を思って、そのためにやるべきこと(地球を攻略すること)に尽力し続けてきたといったところだろうか。

そして、地球攻略まであともう少し、これで自分たちの功績を、ガミラス上層部に認めさせることができる、ザルツ人の2等ガミラス人から1等ガミラス人への昇格もあと一歩・・・

といったところで出てきたのが・・・


上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~



波動エネルギー原理を導入した宇宙戦艦ヤマトは、ご存知のとおりこれまでの地球艦隊とは、全く比べ物にならない、圧倒的戦力で、ガミラスの艦艇群を一撃で葬り去り、その波動砲は巨大な浮遊大陸とそこの前線基地を文字通り消し去り、頼みとした反射衛星砲での集中砲火もむなしく、

とうとう冥王星基地そのものが、これまで見下していた“テロンの戦艦”一隻によって陥落する始末
がーん

大部分の艦艇が、ヤマトの主砲に蹂躙される基地から逃げ切れず誘爆する中、シュルツ司令の超弩級戦艦(ガイデロール艦)とともにわずかに3艦ばかりが辛うじて宙域に離脱するも、すぐさま1隻がヤマトの追撃を受けて轟沈。

このままでは逃げ切れない・・・

シュルツ司令も自分たちも間違いなく、ヤマトに沈められてしまう


冥王星沖会戦のときの古代守と同様、全滅だけは避けたいとヤレトラーは思ったのだろう。

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

ここは我らが盾に。どうかご無事で・・・

そう言い残して、ヤレトラーの艦は反転、単艦でヤマトへと決死の突撃。

ヤマト相手に、勝算は薄いとわかっていても、ガミラス帝国支配下にあるザルツ民族のことを考えれば、ここでザルツ軍の総司令シュルツを死なせるわけにはいかなかったのだろう。


上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

応戦もむなしく、

ヤマトのショックカノンがデストリア艦の装甲を貫き、



上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

ヤレトラーは壮絶な最後を遂げ・・・


デストリア轟沈!!

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~

・・・・・

一部始終を見届けていた、シュルツとガンツ、

轟沈の一声に、無言のまま沈痛な表情を浮かべ、幕僚の死を悼む暇もなく遠くの宙域へとゲシュタム・ジャンプ

悼む相手は違えど、彼らの気持ちは、冥王星会戦での沖田艦長の気持ちと同じだったのだろう。


そう、ヤマト2199は第1章の序盤と第2章の終盤がちょうど対になっているわけでござります。

上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~上官を逃すために散った男 ~古代守とヤレトラー~
敵味方の区別なく、散った幕僚を悼む心は同じ


Posted by まほろば旅日記編集部 at 03:28